『ラジオドッグ』上演のお知らせ

 今年も前途あるフレッシュな若者達が二度とは戻らない夏を演劇の稽古なんかに湯水のように注ぎ込む形で(!)、拙作『ラジオドッグ』を上演してくれるようです。

演劇グループSomething
夜空に響け夏公演『ラジオドッグ』

作/オカモト國ヒコ
演出/槻市ひよ

9月7日(土) 13:00〜/17:30〜
9月8日(日) 13:00〜/17:30〜
関西学院大学旧学生会館2階ママ上ホールにて
料金、完全無料


 ここ数年、毎年のようにどこかで上演してもらえて、とても嬉しいです。
 非力ながら少しでも宣伝になればと思い、なにかしら作品について書いてみようかと思います。

 この物語は、思春期独特の屈折を抱えた三人の中学生が主人公です。

 学校にいかず一日パソコンいじってる不登校の気弱少年と、自分を少年ジャンプのキャラに近づけようと日々三階から飛び降りたりするようなバカと、すべてのコミュニケーションが嫌がらせという病的な人間不信の少女。

 この学校に馴染めないタイプの三人をある先生が心配して将棋部という他に誰も部員がいないクラブに無理やり入部させたところから物語は始まります。

 容易な事では友達になれない歪んだ彼らも反目したり誘拐したりの紆余曲折あった末、ようやく賞金目当てに「合作でミステリー小説を書く」という行為に没頭しはじめます。
 しかし、世間知らずの中学生ではいかに三人の知恵を集めて書こうとも小説にリアリティーが出ません。
 考えた末、世間を知る為に彼らがしたこと。

 それが「盗聴」でした。

 盗聴を続けるうち、彼らは彼らが通う中学で二年前に起こった未解決事件を知ることになります。
 三人はその事件を解決してそれを小説にしようと考え始めます。

 ある日、三人が同時に居眠りをしてしまった時、不思議なことが起こります。
 三人で書いていた書きかけの小説がいつの間にか完成しているのです。
 そして、その中で描かれる現実の未解決事件の謎も、小説の中の主人公=「マカベシンジ」が見事に解決してしまっているのです。

 驚く三人。
 一体、誰がこの小説を完成させたのでしょう?
 一体、誰が自分たちの調べた情報を使って未解決事件の真相を解明したのでしょう?

 そして、その事件の真相が暴かれたこの小説の存在は、同じ事件の謎を探っていたスパイ組織の知るところになります。

 忍び寄るスパイの手。三人は学校を飛び出し、事件の真相を世間に公表しようとするのですが…。

 中学生三人の、命を賭けた逃亡劇はどのような結末を迎えるのでしょう…?

 一方、十年後の世界が同時進行で描かれます。

 三人は成長し、電波捜査班の敏腕刑事になっていたり、ラジオドッグと呼ばれるハッキング組織の若きボスになっていたり、小説家になってたりします。

 どうやらこの十年、彼らはお互いに会わないようにしていたようです。まるで憎みあっているようにも見える。それは何故なのか。

 十年後のこの世界は、ある重大な危機に直面しているというのです。
 かつての世界大恐慌以上の未曾有の金融崩壊が人為的に引き起こされようとしている。一人の天才投資家の手によって。

 その投資家の名は「マカベシンジ」。10年前世間を騒がせた謎の天才少年。そして、自分たちが書いた小説の主人公…。

 その彼をなんとか出来るのは自分達三人だけだというのですが…?
 

 長くなりましたが、上のようなお話です。
 まあ、面白そう…じゃないですか?(汗
 
 細かいストーリーやら謎は置いておいて、友達のいない三人の中学生がスパイ組織に追われたりするうち、だんだん仲良くなっていくところが一番の見所です。
 思春期で歪な心理状態だった彼らも三人でいる間にお互いを思いやる事の出来る頼もしい少年少女になっていきます。

 しかし、彼らの作り出した「合作」が、彼らが別々にならなければならない原因となっていく。

 親しい誰かと別れるということはその誰かの前で振る舞っていた自分ともお別れするということです。
 生まれて初めて心が通った友人との別れはきっと、生まれて初めて人間らしく振る舞えた自分との別れでもあります。
 彼らの前で笑ったり怒ったりしていた自分こそ、彼らがいたおかげで生まれた、彼らとの「合作」なのだから。

 これは夏とともに去って行った友人と、彼らと共に生まれた自分自身とのお別れの物語なのです。

 お時間あったら、観に行ってあげてください。
 僕も久しぶりに彼ら三人に会いたい気がしますよ。
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プロフィール

オカモト國ヒコ

Author:オカモト國ヒコ
劇作家・演出家・脚本家
「テノヒラサイズの人生大車輪」(作・演出)第22回池袋演劇祭優秀賞。
FMシアター「薔薇のある家」で平成22年度文化庁芸術祭優秀賞、第48回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞。
「橋爪功一人芝居 おとこのはなし」第50回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞。
関西TV「誰も知らないJ学園」「新ミナミの帝王~裏切りの実印」
NHK-BSプレミアム「高橋留美子劇場」「猿飛三世」(5、6話)
Eテレ「昔話法廷 第2シーズン」

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