「一生行かなそげなとこへ行こう!NHK放送博物館-後篇-」

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 前回紹介した『ゴン太君の秘密』はいかがだったろうか。

「一生知らなければ良かった」
「もうゴン太をゴン太として認識できない」
「・・・合体ロボ?」などなど。

 そんな嘆きとも怒りともとれる反響がぞくぞくと寄せられている。
 しかし、我々の夢を奪う恐るべき秘密は、愛宕山の山頂で今日も堂々と公開されているのである。
 問答無用のコンテンツ力、それがNHK放送博物館。
 今回はその-後篇-である。

 写真は『プリンプリン物語』のプリンプリン。
 ひげよさらば、三国志、ひょっこりひょうたん島。子供の頃、NHKの人形劇が好きだった人はたくさんいるのではないだろうか。僕が個人的に思い入れがあるのは断然プリンプリンだ。
 1979年4月2日~1982年3月19日まで月~金18:25~18:40放送。
 現在37歳の僕が五歳から八歳まで放送ということは、まさにジャスト世代。三年もやってたのか。すごいね。

 NHK放送博物館では、この番組の視聴が出来る。
 しかもいきなり最終回を。
 自分の思い出の作品の最終回を観れる喜び・・・のはずだったのだが。
 断言できるが、プリンプリンがどんな最終回だったか覚えてる人はいないはずだ。
 それは何故か?
 風雲急を告げるNHK放送博物館探検記、後篇の始まりである。→to be continue...

 さて、後篇であるが、あくまでこれはNHK放送博物館に行ってきた体験記である。
 なので、プリンプリンの最終回については、最後に触れる事にする。気になる人は最後まで飛ばしちゃってくれても構わない。 

 前篇で書き忘れたが、建物自体は四階建てである。
 1~2階がカメラや放送の歴史の展示。3~4階が番組などコンテンツ方面の展示という構造になっている。
 博物館であるから、あらかじめコースが想定されている。一つの階をぐるっと一周しては階段を上がるという繰り返しである。

 しかし素直にそれに従っていては取り返しのつかない事になる。

 NHK放送博物館では、ジジババの濁流が定期的にやってくるのだ。
 おそらく観光のコースに入ってるのだろう。そういえば表にバスが止まれるくらいの駐車場があった。

 いったんジジババによる土石流が狭い通路に流入してきた場合、じたばたしてはいけない。
 我が道を行くのみ!などと突っ張ったところで結局ここは博物館でありコースは同じなのだ。
 無理をしては本当に飲み込まれてしまって、自らも土石流の一部となり、結果、ジジババと共に博物館めぐりをすることになる。
 そっと身を隠し、通り過ぎるのを待つしかない。

 僕の場合、壁に貼ってある展示物を見ているフリをした。

 これがその時に目の前にあった展示物の古い新聞記事である。

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 おっ。

 これは。
 
 これはきっと、来るとき通ったあの大きなトンネルだ。


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 ここの。

 開通の際の記事のようである。

 へー。

 なになに・・

 「ドテツ腹があき 愛宕山風涼し」w

 上に神社もある由緒ありそうな山に穴開けて「風涼し」って、今だとネットで叩かれまくりそうな記事だな。

 「何が風涼しだ。ぜんぜん風流じゃねーよ!この罰当たり!」と文句も言いたくなる。

 しかし、今も濁流のように僕の後ろを通るジジババを意識して言うわけじゃないが「昔の人は自然や歴史を大切にしていた」と考えるのは間違いだ。
 少なくともこの記事の昭和五年当時には、日本には一部を除いて見渡す限り山と田んぼと神社と寺しかなかった。
 何かを大切にしようという発想はそれが残り少なくならないと生まれない。周りが自然だらけだった時代に「自然を大切に」なんて誰も思ってるはずがない。

 唐突に話は変わるけども、この土曜日(15日)、NHKで松下幸之助のドラマ『神様の女房』の最終回がやっていた。その中で松下幸之助がラジオ出演した時に

 「モノがどんどん行きわたれば誰でも買えるくらい安くなる。そうすれば誰にでも使えるようになる。それがパラダイスです。」

 というような台詞を言ったというシーンがあった。

 じーんと感動したのだが、正直、少し違和感も感じた。

 「『モノが行きわたった世界=パラダイス』ではないのでは?」と感じてしまったから。

 だからといって松下幸之助が間違っていたとは誰も思わない。彼は「普及の時代」を代表するヒーローだ。彼ら先人の力なくして、今はやってこなかった。
 モノが溢れたからこそ「モノより大切なものがあるのでは?」というオイルショック以降の価値観が生まれたのだし。

 「風涼し」と「パラダイス」は同じような違和感を僕に感じさせる。
 そこに共通しているのは
 「工業の発達が、社会を、世界を、より良く変えていく」
 という素朴な未来観だ。
 だから今の感覚で「風涼し」を読むと違和感があるが、当時は本当に未来からの風が吹き抜けるような涼しげなイメージのニュースだったかも知れない。


 ただ・・・う~ん。ごめんね~。21世紀では原発事故とか色々あってさ~、どっちかっていうと悪者になっちゃってんだよね~・・・^^;
 

 おっと。


 とてもどうでもいい事をとても長く書いてしまった。


 脱線してるうちにジジババは、大河ドラマコーナーに行ってしまったようだ。

 よしよし。

 ゆっくりとうろうろしよう。



 NHKと言えば、紅白歌合戦である。



 紅白コーナーはとても地味だ。

 小林幸子の衣装が原寸大で飾ってある!!くらいの事はやって欲しいが、スペース的にとても無理だ。

 隣接する大河コーナーは広いのに。

 紅白コーナーの目玉は、直筆サインだ。

 2010年紅白出場のスター様達のサインが壁一面に飾ってあるのである。

 正直、新歌舞伎座近くの居酒屋でもこれくらいの量の芸能人のサインは目に出来るが、まあその辺りは言いっこなしだ。
 
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 おお。

 perfume。

 いいね。ファンである。

 とても女の子らしいポップなサインである。

 かわいい。
 
 と、これを見れば分かるように、三人組であっても、一アーティストとして、一枚の色紙に書く事が決まってるらしい。

 perfumeとして出演したという意味でのサインだからこれで当たり前かも知れない。

 という事は、

 他のグループを見てみよう
 
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 五人組の嵐もこうなる。
 
 1アーティスト=1色紙の法則である。

 みんなしっかりした感じのサインでカッコいいね。

 男らしい。

 好感が持てるよ。

 さて次は・・

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 EXILE

 分かってたことだがこうなる。

 クラスの誰かが転校するので書いた寄せ書きではない。

 EXILEの皆さんは全く悪くない。

 1アーティスト=1色紙なんだからこうならざるを得ない。

 サイン自体はみんなカッコいし。

 色紙の大きさは上のperfumeや嵐と同じ大きさの色紙である。

 14人だからってすごく大きな色紙が用意されたりはしていなかった。

 とくると、一番の大所帯と言えば・・

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 AKB48。

 やっぱり48人(?)全員は書けなかったようだ。

 詳しくないので判別がつかないが、20人分くらいだろうか?

 じっと見てると自分が入院してるような気がしてくるのは僕だけだろうか。

 「はやくよくなってね!みんな待ってるよ!」

 とか書いてあったら泣いちゃうな、きっと。
 

 さて、紅白歌合戦担当者の方、もしもこの文章を読んでらしたら一つ提案があります。

 大グループが多い昨今、色紙一枚にこだわらず、大人数の場合は何枚かに分けてはいかがでしょうか。

 先日、某民放音楽番組で、紅白に出る為に結成したのかな?と思える巨大ユニット「モベキマス」を観ました。

 最近流行の大人数アイドル形式に合わせたのでしょう。ハロプロのいくつかのユニットを合体させたもので、総勢29人だそうです。彼女たちが出るか出ないかは知りませんが、29人を一枚の色紙はなかなか難しいと思うのです。
 また、今年は韓流アイドルグループもたくさん登場すると思います。あの人たちも結構人数が多いグループが多いと思うんです。

 どうでしょうか。今年から色紙を何枚かに分けるわけにはいきませんでしょうか。

 わかりました。単独アーティストとの差が生まれて、文句が出てはいけませんよね。

 目玉で登場と思われるレディ・ガガはいけそうな気配ですか?

 もしいけるなら彼女の破天荒ぶりを言い訳に、レディ・ガガがどうしても一文字ずつ「レ」「デ」「ィ」「・」「ガ」「ガ」と書いてくるので、今回から最大6枚までOKになりました、とすればどうでしょうか。

 ガガならしょうがねーなって感じに持っていけるんじゃないかと思うんです。きっと。


 

 またどうでもいいことを書いてしまった。


 さて。


 同じ階に、放送ライブラリーというのがある。

 写真もなにも撮ってないのだが、ここが一番見応えがあるコーナーと言っては身もふたもないだろうか。

 いろんな番組を普通にTVで観れるのである。
 図書館の視聴覚コーナーみたいな感じで。

 ここに団体客はこない。
 受付の女性が二人もいる。ヒマすぎてつらいだろうに、ちゃんと笑顔で丁寧な対応をしてくれた。いい嫁になれそうな人たちだ。そう言えば、ここに来る道を聞いた東京タワーの受付の女性もヒマそうなのに、丁寧な対応だったな。東京タワーからの距離がありすぎて、結局、道に迷ってしまったが・・・。

 あなたにもし時間があるならだが、ここはオススメである。

 マニアックなインタビュー映像などが見放題だ。(視聴できるのは、全部でなくセレクトされた一部らしい)
 
 時間が無かったので見たのは「あの人に会いたい」というインタビュー番組(司馬遼太郎、色川武大、赤塚不二夫などを視聴。)。あとは「プロフェッショナル」という番組のジブリの鈴木敏夫プロデューサーの回を見た。

 これネットで見れるようになってないのかなと思って、さっきNHKアーカイブで調べてみたら、「あの人に会いたい」は全国にある同じような施設で見てくださいと出てきた。
 大阪だと大阪城公園近くにあるNHK大阪放送局9FBKプラザ見学コース内にあるそうだ。一組一時間まで、らしい。
 
 「プロフェッショナル」はNHKオンデマンドで観れて、一本210円だそうだ。

 しかし、入場無料のこの施設に行けば、視聴はすべてタダだし、一時間以上いたが追い出されたりはしなかった。他の地方の施設も追い出されたりってことはないだろう。

 ご興味ある方は是非。
 


 さあ、飛ばした方以外は、ようやくのプリンプリンだ。

 お待たせしました。

 とりあえずあらすじ。

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 赤子のまま海に流されたどこかの国の姫プリンプリンが成長し、自分の故郷の国を探す旅に出るという貴種流離譚である。
 神谷明の声の熱血少年ボンボン、予知能力を持つ火星人(というあだ名である)といった仲間と共に、異国に不法入国しては「ここがプリンプリンの国なのでは?」と探りを入れるうちにその国の揉め事をなんとなく解決しては次の国に向かうというタイムボカンシリーズみたいな、宇宙船サジタリウス(知らないかな?)みたいな、そういう感じのストーリーである。
 全体的にミュージカル演出で、いまだに覚えてる歌があるほど、キャラクターも立っててよく出来た人形劇である。
 控えめに言って、すごく好きだった。


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 さて、いきなり最終回なので、プリンプリンが無事に自分の生まれた国にたどり着いてるのかどうかは分からない。
 画面に映るのは、悪役である武器商人「ランカー」の城であるらしい。
 一行が城の近くにいるのは、城から逃げてきたのか、倒そうと戦いに来たのか、どっちだろう。
 急に火星人が持ち前の予知能力で「あの城は消える」と言いだした。
 城の中ではランカーが手下とともに、今まさにミサイルを点火する場面。
 もしかしたら、このミサイル発射を止める為にプリンプリン達は乗り込んでこようとしてるのかも知れない。
 と思ってたのもつかの間、ミサイルがとてもひょんなことから逆噴射!
 結果、ランカー一味はミサイルで自滅。
 火星人の予言通り城は消滅したのだった。
 あまりにもあっという間の逆転劇で、逆転なのかどうなのかすら僕にはよく分からない数分の出来事だった。
 ともかく、あっけないが悪役は死んだ。
 と、喜ぶ間もなく(本当に間もなく)プリンプリンが・・・

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 ピキーーン!
 「母」からのテレパシーを受信する!
 なんだ、このエスパー設定は。
 こんなの全然覚えてない。
 「お母さん!」
 ともかく、第一話から登場していたはずの悪役ランカーの死はまったく彼女の心を揺さぶらないご様子だ。

 えーっと、なになに・・?
 どうやら母とのテレパシーでのやり取りから類推するとプリンプリンはまだ自分の国にたどり着いていないらしい。
 なんと。
 あと数分しかないが、大丈夫なのか。

 船に乗って大海原へ迎えというような、おおざっぱなメッセージを遺して母からの通信は途絶えた。
 急げ、プリンプリン!海へ迎え!
 と思ってたら
 母を思う度に歌う「おかあさんの歌」を歌い始めるプリンプリン。
 歌ってる場合かよ!
 もう数分しか残ってないのに、呑気に歌っててちゃんと終わるんだろうか・・・。

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 朗々と歌い上げるプリンプリン。
 人形だから口が全く動いてないのが不気味だが、子供の頃はなんとも思ってなかった。
 この人形が怖いのも、見慣れれば大丈夫なはずだ。
 だって子供の頃は楽しく見てたんだから。

 ・・・・・・・・・・・・

 えーと。
 これはもう国に辿り着かないね。
 そういう終わり方なんだ。
 船に乗って行かないといけない国という事は、違う大陸にあるってことなのかな?
 北斗の拳じゃないけども「2」は新大陸編、みたいな。
 実際にはプリンプリンに2はなかったけど。

 こういう旅の途中エンドなら、最終回覚えてなかったのもうなづける。
 この歌を歌い終わった後でボンボンあたりが「みんなで一緒に行こう!俺たちの旅は終わらないぜ!」みたいなセリフを言うんだろう。

 そして旅立つみんなの絵で、大団円だ、きっと。

 プリンプリンは1mmも開かない口で母への慕情を朗々と歌い上げ、

 そして・・・

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 あっ・・・!

 終わった!?
 
 歌ってる途中で!?
  
 ちょっとちょっと! 

 仲間はまだ誰も一緒に行くって言ってない!

 これじゃ、プリンプリンが一人で行く話になってるよ。え?

 一人で行くとしても「みんな今までありがとう」とかは?

 友情とかないの?

 旅の思い出は?

 お母さんに会う目的至上主義?え・・?

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 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ほんとに終わった・・・・。

 なにこのラストの絵・・・・・・・。

みんな「・・・・・・・・・・」
プリン「おか~さ~ん~♪らら~♪」
みんな「・・・・・・・・・・」

 こういう絵でプリンプリンが終わっていたとは。

 急転直下すぎて頭をぶんなぐられたような気分だが、これが15分番組の正しい姿なのかも知れない。
 最後の最後まで物語を詰め込んだ為に、どうしても終わり方が唐突になる。
 ある意味では英断と言えると思う、しかし・・・。

 いやいやいや。
 よく考えればこれは最終回だ。
 もしかしたら他の仲間たちはそれぞれの国に帰らなければならない事情が既に描かれていたのかも知れない。そして、それを納得の上で、彼らは最後の戦いに来たんだよ。
 その戦いが終わった今、プリンプリンは一人、母に会う為に旅立つというラストなのだろう、きっと。

 ・・・それにしたって、仲間も最後に「頑張れよ、プリン」くらい言ったって罰は当たらないと思うよ。

 だってこの絵は・・・
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みんな「・・・・・」
プリン「おか~さ~ん~♪」
みんな「・・・・・・・・・・もういい?」

 な感じにしか見えないよ。

 せめて、仲間たちも踊ってるわけにはいかなかったんだろうか・・・。

 島本和彦『吠えろペン』の台詞で、どうしても思い出せない回があるのは、あまりに出来がひどくて見た記憶を脳が忘れさせているからだというようなセリフがあるが、このプリンプリン最終回に関しては少し違う。
 単純に、見ていたとしても、長く記憶にとどめておけるほどの筋立った内容がないのでまったく思い出せない回と言えるのではないだろうか。

 ・
 ・
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 帰りに虎ノ門方向へ歩いていると、鳥居を見つけた。
 おそらくここが愛宕神社の正面だろう。
 前篇で掲載した石段の上から見た写真の場所から降りていくと、この鳥居に出るのだと思う。

 次に来ることがあれば、こっちから登ってみようかな。

 長い文章にお付き合いありがとうございました。

 「一生行かなそげなところへ行こう! NHK放送博物館篇」終了です。

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コメント

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放送博物館を調べていたら
たまたまたどり着いた何やら面白げなblog。
読み終わってみたら、書き手はなんとかのオカモト國ヒコ氏
ではありませぬか!!

という奇遇な感じでたどり着いた
佃でありました。

どうもご無沙汰しております。
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プロフィール

Author:オカモト國ヒコ
劇作家・演出家・脚本家
「テノヒラサイズの人生大車輪」(作・演出)第22回池袋演劇祭優秀賞。
FMシアター「薔薇のある家」で平成22年度文化庁芸術祭優秀賞、第48回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞。
「橋爪功一人芝居 おとこのはなし」第50回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞。
関西TV「誰も知らないJ学園」「新ミナミの帝王~裏切りの実印」
NHK-BSプレミアム「高橋留美子劇場」「猿飛三世」(5、6話)
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