「鯛丸ごと一匹入りの湯豆腐」

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 とてつもなく見栄えが野蛮に見えるが、これは湯豆腐である。

 塩焼きにした小ぶりの甘鯛(今回はイトヨリ)が一匹丸ごと入っている。

 これは、島田荘司著「写楽 閉じた国の幻」の中に出てくる湯豆腐で、江戸後期の浮世絵師・歌川広重の好んだ料理を再現するという店で主人公たちがつつくのである。

 特にこの料理で謎が解けたり、何かの伏線になってるわけでもないのだが、妙に心に残るというか、一言で言ってとても旨そうなので作ってみた。

 その部分の記述はこうである。(セリフのみ抜粋)

「おお、これはうまい!」
「しっかり味がついてるな」
「そうでしょう? 湯豆腐ってたいていお豆腐と昆布だけ、お魚入れるなら鱈でしょう。あと葱入れたり。
焼いた鯛を入れるのってはじめてですけど、すごいですわね、この発想」
「うん、おいしいな」
「理にかなっているんです、やってみると。鯛って脂が多いんですけど、一度焼くことでそれが抜けるんです」


 ね?なんか作ってみたくならない?

 小説の中の湯豆腐はおそらく見栄えを考えて、鯛は切り身になってると思う。
 でも、面倒なのと、悪ふざけもあり、丸ごと入れてしまう。
 小説の記述でもあるように、鯛の旨味が出汁に移ってとてもしっかりした味になり、食べごたえもなかなか。
 湯豆腐で雑炊をする人はあまりいないと思うが、この湯豆腐はシメに雑炊がオススメ。かなり贅沢な風味のいい雑炊が食べられる。

 我が家ではもう湯豆腐と言えばこれが定番である。

 ちなみに、大きさは似たように小ぶりだが、イトヨリよりは蓮子鯛の方がこの料理には向いてると思う。
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プロフィール

オカモト國ヒコ

Author:オカモト國ヒコ
劇作家・演出家・脚本家
「テノヒラサイズの人生大車輪」(作・演出)第22回池袋演劇祭優秀賞。
FMシアター「薔薇のある家」で平成22年度文化庁芸術祭優秀賞、第48回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞。
「橋爪功一人芝居 おとこのはなし」第50回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞。
関西TV「誰も知らないJ学園」「新ミナミの帝王~裏切りの実印」
NHK-BSプレミアム「高橋留美子劇場」「猿飛三世」(5、6話)
Eテレ「昔話法廷 第2シーズン」

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